ドイツ・ポーランド旅行記5

ついにやってきました。
ある映画を見てからずっと行ってみたかった「シュタージ」(Stasi)。
地下鉄Magdalenenstreet(マグダレン通り)駅で下りると
歩いてすぐ(2、3分くらい)のところに黄色い看板があるので、その奥へ入っていきます。

「シュタージ」(Stasi)とは
1950年から1990年頃まで約40年間存在した旧東ドイツ時代の秘密警察・諜報機関です。
正式名称は「国家保安省」。
反政府派を抑圧する目的で設立された組織で、政府にとって危険とみなされた人々を抑圧し
一般市民に対する徹底した監視、また東側だけでなく西側にもスパイを派遣していました。

現在は「シュタージ博物館」としてその活動記録が一般公開されており
当時の監視社会の恐怖を今に伝える貴重な資料館でもあります。

建物様式は旧東ドイツ時代に多く建設されていた
規格型のプレハブ工法(プラッテンバウ)が基礎となっています。
ファサードは装飾的なものが全くなく無機質で、威圧感がすごく、、、とにかく怖いです。

本当に入ってもよろしいのでしょうか、という感じの入口から内部へ潜入です。

隠しカメラや盗聴器など実際に使われていた
今では考えられないような監視グッズなるものが展示されています。

ボタン型隠しカメラ、、、
隣人が水やりを装いながらターゲットを撮影(実際に水を入れての使用も可)。
何気ない立ち話をしていると思いきや、ネクタイから撮影、、、
ターゲットの隙を突いて瞬時に鍵の型取り、、、
ドアのない循環式エレベーター(パーテルノステル)
停止することなく、目的の階でタイミングよく飛び乗ったり、飛び降りたりします。
物理的に怖い、、、。

1991年には「シュタージ文書管理法」というものが制定され、個人の監視記録が閲覧可能になったそうです。
監視対象者についてまとめた膨大な機密文書は隣接する「シュタージ・アーカイブ」に保管されており
申請すれば、自身の監視記録ファイルを閲覧することが可能です。
密告したのは誰で、どこでどのように監視されていたのかなど、長年抱いていた疑問は解消されます。
仲の良い友人や同僚が、密告者だったことを知ることもあるそうです、、(閲覧注意)

ここで映画「善き人のためのソナタ」をご紹介させて頂きます。
日本では2007年に公開の少し古い映画になりますが、ご存じでしょうか。
この映画の影響で今回、ドイツの旅に出かけたと言っても過言ではないくらい
もう何回も見ましたが、当時の監視社会を知ることが出来る映画の一つです。

出典:GAGA

ストーリーは、主人公のシュタージ職員(ヴィースラー)が
知名度のある劇作家(ドライマン)を監視するよう命じられろところから始まります。
ヴィースラーは職務に忠実であり優秀な尋問のプロ。
彼らの生活を監視していくうちに、この冷徹なシュタージ職員が愛とか人間性に目覚めていくという物語です。

何気ない机ですが、映画のシーンを彷彿させます。
何てことのない応接セットですら心ときめきました。

この主人公ヴィースラー役を演じた、ドイツ人俳優のウルリッヒ・ミューエさんの演技に見入ってしまいますが
日本的言い回しで説明するなら、背中で演技しているような感じの印象です。
彼の演技は公開後に大絶賛されるのですが
なんとこの映画の公開後(アカデミー賞授賞式の直後)54歳という若さでこの世を去ってしまいます。

ウルリッヒさんの経歴を調べたところ
彼自身もベルリンの壁の国境警備兵をしていたり、舞台俳優として活躍をしたり
当時の配偶者に監視されたりした経験を持つ方でした。
ウルリッヒさんの人生が、まるで本作に登場する劇作家のようです。

現代に生きる我々はもう人に覗かれたり、こそこそ観察されたりする心配はなく安心ですね!
スマホを使いこなし、もう自ら情報を提供していますから、、、(涙)

では次回も引き続きベルリン観光の記録を綴っていきます。