マリーナ・タバサム・アーキテクツ展「People Place Poiesis」ギャラリー・間

マリーナ・タバサム・アーキテクツ(MTA)展へ行ってきました。

マリーナ・タバサムはバングラデッシュ出身の女性建築家。
バングラデッシュの首都ダッカを拠点に、自然災害や貧困等で苦しむ人々へ建築を通して支援をしています。

農村部の集落の中庭を再現
(スチールのフレームは中庭を囲む住居の雰囲気をつくり
実際に用いられる日用品が並べられている)

南アジアに位置するバングラデッシュは、日本の約4割の国土に約1億7000万人が暮らしています。
国土の大部分は、ガンジス川などの大河がつくるベンガル・デルタと呼ばれる低湿地で
肥沃な土壌と豊富な水により、国の主要産業である農業を支えています。
その一方で、頻発する洪水により家は流され、生活拠点の移動を余儀なくされてしまう。
人々の生涯引っ越し回数は、平均70回にも上るそうです。

MTAは住む場所を失った人々のため、2階建ての可動式ハウスKhudi Bari「クディ・バリ」(小さな家を意味する)を考案。
クディ・バリは、現地の人々により短期間(2日)で組み立てられ、解体も容易であることから
洪水時の避難シェルターとしても機能します。

バングラデッシュから輸送されたクディ・バリが、3階中庭ギャラリーに展示されています。

クディ・バリの2階に上がらせていただきました。(ギャラリーツアー時のみ可能)
ゴロンと横になってみると以外にも安定感があり心地良かったです。

クディ・バリは竹とスチールでできています。
竹はバングラデッシュのどこでも容易にかつ安価に入手でき
接続部のスチール製ジョイントは単純構造により、解体・移動・組立てが非常に容易にできるようになっています。
竹は日本とは違い、東南アジア特有のかなり肉厚で頑丈なものです。

こちらは日本版クディ・バリです。
建築家の森田一弥氏の協力のもとつくられました。
日本版はすべて木材でつくられていて、仕口は縄によって緊結されています。

MTAが立ち上げた「財団F.A.C.E」という建築と地域の公平性を支援する非営利団体により
クディ・バリは全国各地に提供されています。
ユニットを組み合わせることで、住宅以外の機能性を持たせる建物にも応用しています。

農産物流通センター模型
ロヒンギャ難民キャンプにおける女性主導のコミュニティ・センター模型

4階展示スペースには、自然光を巧みに取り入れた建築物の展示がありました。

アルファガンダ・モスクは高さ2.4mのコンクリートまぐさを構造とする礼拝堂。
壁の間から入る自然光が、内部に美しい陰影を作り出し神聖な雰囲気を醸し出しています。

アルファガンダ・モスク模型
模型にもかかわらず現地の土を使ったレンガが使用されている


自然災害、貧富の差、難民問題等の社会の課題に取り組む
バングラデッシュの建築家マリーナ・タバサムの活動を、この展示により初めて知ることができました。
同じく建築を通して社会問題に取り組む坂茂とも対談されたそうです。

会期は2026.02.15まで