この記事では、土地を選ぶ際にどんな家が建てられるのか参考にしていただけるよう
住宅密集地でのプランを基に解説をしていきます。
今回は道路が北側にある2階建て住宅のご紹介です。
前回の記事「土地選びの参考に」シリーズの「住宅設計のセオリー」に基いて計画をしていますので
合わせてご一読いただけますと幸いです。
土地の特性
住宅密集地であるため南側を広くとり日差しを確保する「建物配置のセオリー」は使えません。
そこで下記のどちらかの計画を検討します。
☑1階リビング+吹抜け
☐2階リビング
ほとんどの場合、リビングを2階とすれば採光については即解決です!が
住宅密集地で1階に採光確保ができる土地か否かという解説の為、今回は1階リビングの設定とします。
周囲を観察し視線が気になる側は「閉じる」
隣地の空き地や、建物のない方向を「開放する」ということを意識してプランニングしていきます。
開放できる場所がない場合には、2階リビングとするのが得策です。
採光の確保
建物の一部分を隣地の軒先から5m程後退させ、太陽光の入る日当たりの一等地をつくります。
その一等地からの採光を十分に生かせるようLDKを配置し、リビング上部は吹抜けとします。
抜け
リビング・ダイニング・キッチンからは南東の庭に視線を抜き、視覚的に広さを感じられるようにしています。
またワークスペースの窓からは北側の小庭に視線を抜き、狭さを感じないようにしています。
高さ方向についても、リビングの段差、上部は吹抜けとすることで空間の広がりを感じるようにしました。
<1階>
キッチンを中心とした計画です。
キッチンでの作業中も、リビング、ダイニング、階段を見渡せ家族の動きを認識できます。
視線は自然と庭に注がれるため、生活感を感じる洗濯物は2階バルコニーで干すようにしました。
下記動線をスムーズにするため、建具でしっかりと仕切らずファブリックカーテン等にしています。
(コストカットの意図もあります)
帰宅動線・・・玄関→手洗い→パントリー・冷蔵庫
玄関→手洗い→階段(2階へ)
玄関→書斎
洗濯動線・・・1階脱衣室→階段(2階へ)
リビング脇から入れる隠れ家的ワークスペース。落ち着いて仕事ができ、窓の外に視線が抜けることで狭さを感じないようにしています。
玄関が道路と近い場合、通行人との距離感や騒音が気になります。駐車スペースは道路からの距離を置く意味もあり並列駐車としました。
※車種にもよりますが並列駐車にする場合、間口7m以上は必要です。
<2階>
2階は吹抜けを通して1階とのつながりを感じられます。
洗濯動線・・・ランドリースペース→バルコニー→ファミリークローゼット
ランドリースペースは室内干し可能で、脇に設けた作業台で洗濯物を畳むことができます。
バルコニーの壁は隣地から見えない高さ設定としているため、プライベート感のあるインナーバルコニーとなっています。
子供室については、子供がまだ小さなうちは大きな1つの空間とし
昼間はプレイルーム、夜間は川の字寝のできる寝室として利用できます。
将来的に、図中の点線部で仕切れば4.5帖の子供室となります。
ランドリースペースで家事をしつつ、プレイルームで遊ぶ子供を見守ることができます。
[面積]
敷地面積 128.30㎡(38.81坪)
1階床面積 64.59㎡(19.53坪)
2階床面積 46.37㎡(14.02坪)
延べ床面積 110.96㎡(33.56坪)
「北側道路のいえ」いかがでしたでしょうか。
北側に道路がある場合、日当たりの面で敬遠されがちですが、プライベートな庭やバルコニーを作り出せるのが魅力の一つです。
今後は、同じような立地条件や面積で、道路の位置が変わった場合をシリーズ化していく予定です。
敷地の面積が同じであっても、形状や方位によっても様々なプランが考えられます。
一概には言えないのですが、土地をお探しのご参考になれば幸いです。